東大国語対策
国語は、東大入試1日目の午前に行われる試験科目です。
試験時間・配点は、文科各類(文系)は150分(120点満点)、理科各類(理系)は100分(80点満点)です。
なお、文系・理系とも、現代文・古文・漢文の三分野すべてから出題されます。出題形式は、記述式(論述式)です。
目次
東大国語の試験概要
出題形式
東大国語は、2000年度入試以来、
- 第一問:現代文(評論文。文理共通問題)
- 第二問:古文 (文科理科で同一出典の際は、文科は理科より設問数が多い)
- 第三問:漢文 (文科理科で同一出典の際は、文科は理科より設問数が多い)
- 第四問:現代文(随筆文等。文科のみ)
という形式が続いています。
ちなみに、1999年度以前は、理科は4題、文科は7題の出題でした。
出題範囲
文系も理系も、現代文・古文・漢文の三分野すべてから出題されます。
試験時間・配点
国語の試験は、東大二次試験の最初の科目であり、1日目の午前中に実施されます。
文理 | 試験時間 | 配点 |
---|---|---|
文科各類(文系) | 1日目 9:30~12:00(150分) | 120点 |
理科各類(理系) | 1日目 9:30~11:10(100分) | 80点 |
配点の内訳
東大国語の配点は、文系120点、理系80点ですが、その内訳(現代文、古文、漢文それぞれの配点)は非公開です。
問題番号 | 文系 | 理系 |
---|---|---|
第1問(現代文) | 40点 | 40点 |
第2問(古文) | 30点 | 20点 |
第3問(漢文) | 30点 | 20点 |
第4問(現代文) | 20点 | - |
合計 | 120点 | 80点 |
模試等での配点は上表の通りですが、近年の得点開示にて「古文漢文が壊滅したはずなのに国語の点数が結構来ている」「古文漢文出来の割に国語の点数が伸びない」という事象が発生しており、思ったよりも現代文の配点が大きいのでは、との意見も聞かれます。(そもそもの配点が違うのか、古文漢文の採点が厳しいのか、判断しかねるところではあります。)
こうした意見や、解答欄の大きさ等を踏まえて配点内訳を予想すると、東大国語の配点内訳予想は下表のようになります。あくまでも予想であり実態は分かりませんが、少なくとも近年の東大国語では、古文漢文はやや点数が取りにくくなってきているのは確かです。
問題番号 | 文系 | 理系 |
---|---|---|
第1問(現代文) | 45点 | 45点 |
第2問(古文) | 30点 | 20点 |
第3問(漢文) | 25点 | 15点 |
第4問(現代文) | 20点 | - |
合計 | 120点 | 80点 |
解答用紙
A3両面(理系は表面だけ)です。
文系は解答用紙1枚で、表面上部に第一問、表面下部に第二問・第三問、裏面(の上部)に第四問の解答欄という形式です。
理系は解答用紙1枚で、表面上部に第一問、表面下部に第二問・第三問の解答欄という形式です。
論述問題の解答欄は、1行が縦約135mm、横幅約8mmとなっています。1行にはだいたい30~35字ぐらいを書くことができます。
東大国語の基本戦略
目標点
文系
合格者平均点は63点ほど(2021年度入試)ですが、合格者の感想を見るに、近年は入試本番の採点が厳しめに感じている方が多いようです。よって、普段意識する目標点は、少し積み増して70点ぐらいに置きましょう。科類による差はあまりありません。
理系
合格者平均点は、理一が44点ほど、理二が43点ほど、理三が49点ほど(2021年度入試)でした。
合格者の感想は、採点甘い勢と採点厳しい勢が半々ぐらいな印象です。よって目標点は、理一・理二は45点ぐらい、理三は50点ぐらいとしましょう。
東大国語のおすすめ参考書・問題集
現代文・古文・漢文それぞれのページをご覧ください。
東大国語の問題出典一覧
東大現代文(第一問)出典一覧
年度 | 第1問 現代文 (評論文、文理共通問題) |
---|---|
2024 | 小川さやか「時間を与えあう――商業経済と人間経済の連環を築く『負債』をめぐって」 (佐久間寛編『負債と信用の人類学――人間経済の現在』所収) |
2023 | 𠮷田憲司「仮面と身体」 |
2022 | 鵜飼哲「ナショナリズム、その〈彼方〉への隘路」 (鵜飼哲『まつろわぬ者たちの祭り―日本型祝賀資本主義批判』所収) |
2021 | 松嶋健「ケアと共同性──個人主義を超えて」 (松村圭一郎・中川理・石井美保編『文化人類学の思考法』所収) |
2020 | 小坂井敏晶『神の亡霊』 |
2019 | 中屋敷均「科学と非科学のはざまで」 (中屋敷均『科学と非科学 その正体を探る』所収) →なお本問は、講談社現代新書編集部の企画で、 著者によりオリジナル解答例が作成されています。 「東大入試に現代新書編集部が挑戦! 最強の「読解王」は誰だ?」 からどうぞ。 |
2018 | 野家啓一『歴史を哲学する――七日間の集中講義』 |
2017 | 伊藤徹『芸術家たちの精神史: 日本近代化を巡る哲学』 |
2016 | 内田樹「反知性主義者たちの肖像」 (内田樹編『日本の反知性主義』所収) |
2015 | 池上哲司『傍らにあること――老いと介護の倫理学』 |
2014 | 藤山直樹「孤独と分裂――落語家の仕事、分析家の仕事」 (藤山直樹『落語の国の精神分析』所収) |
2013 | 湯浅博雄「ランボーの詩の翻訳について」 (雑誌「文学」2012年7,8月号掲載) |
2012 | 河野哲也『意識は実在しない』 |
2011 | 桑子敏雄『風景のなかの環境哲学』 |
2010 | 阪本俊生『ポスト・プライバシー』 |
2009 | 原研哉『白』 |
2008 | 宇野邦一『反歴史論』 |
2007 | 浅沼圭司『読書について』 |
2006 | 宇都宮輝夫「死と宗教」 (『岩波講座 宗教 第3巻 宗教史の可能性』所収) |
2005 | 三木清『哲学入門』 |
2004 | 伊藤徹『柳宗悦 手としての人間』 |
2003 | 小松和彦『神なき時代の民俗学』 |
2002 | 村上陽一郎「死すべきものとしての人間」 (村上陽一郎『生と死への眼差し』所収) |
2001 | リービ英雄『日本語を書く部屋』 |
2000 | 加茂直樹「環境と人間」 (加茂直樹『社会哲学の現代的展開』所収) |
東大古文の出典一覧
年度 | 第2問 古文 (文科) | 第2問 古文 (理科) |
---|---|---|
2024 | 藤原長子『讃岐典侍日記』 | |
2023 | 無住道暁『沙石集』 | |
2022 | 『浜松中納言物語』 | |
2021 | 『落窪物語』 | |
2020 | 『春日権現験記』 | |
2019 | 闌更『誹諧世説』 | |
2018 | 『太平記』 | |
2017 | 『源氏物語』真木柱 | |
2016 | 『あきぎり』 | |
2015 | 『夜の寝覚』 | |
2014 | 井原西鶴『世間胸算用』 | |
2013 | 『吾妻鏡』 | |
2012 | 『俊頼髄脳』 | |
2011 | 『十訓抄』 | |
2010 | 『古今著聞集』 | |
2009 | 『うつほ物語』 | |
2008 | 『古本説話集』 | |
2007 | 『続古事談』 | |
2006 | 『堤中納言物語』 | |
2005 | 『住吉物語』 | |
2004 | 『庚子道の記』 | |
2003 | 『古本説話集』 | |
2002 | 『神道集』 | |
2001 | 『栄花物語』 | 『十訓抄』 |
2000 | 『成尋阿闍梨母集』 |
東大漢文の出典一覧
年度 | 第3問 漢文 (文科) | 第3問 漢文 (理科) |
---|---|---|
2024 | 方東樹『書林揚觶』 | |
2023 | 呉兢『貞観政要』 | |
2022 | 呂不韋『呂氏春秋』 | |
2021 | 井上金峨『霞城講義』 | |
2020 | 『漢書』 | |
2019 | 黄宗羲『明夷待訪録』 | |
2018 | 王安石『新刻臨川王介甫先生文集』「上仁宗皇帝言事書」 | |
2017 | 劉元卿『賢奕編』 | |
2016 | 蘇軾「寓居定恵院之東、雑花満山、有海棠一株、土人不知貴也」 | |
2015 | 紀昀『閲微草堂筆記』 | |
2014 | 『資治通鑑』 | |
2013 | 『三国史記』 | |
2012 | 『春秋左氏伝』昭公二十年 | |
2011 | 白居易「放旅雁」 | |
2010 | 文瑩『玉壺清話』 | |
2009 | 万里集九『梅花無尽蔵』 | |
2008 | 兪樾『右台仙館筆記』 | |
2007 | 陶宗儀『輟耕録』 | |
2006 | 彭乗『続墨客揮犀』 | |
2005 | 陳其元『庸間斎筆記』 | 蘇洵『嘉祐集』 |
2004 | 田汝成『西湖遊覧志余』 | 蘇軾『東坡志林』 |
2003 | 利瑪竇(マテオ・リッチ)『畸人十篇』 | 韓非『韓非子』 |
2002 | 龔自珍『病梅館記』 | 応劭『風俗通義』 |
2001 | 曾益『李賀詩解』 | 韓愈『対禹問』 |
2000 | 何喬遠『閩書』 | 司馬遷『史記』 |
東大現代文(文系用・第四問)出典
東大国語、第四問の出典。
年度 | 第4問 現代文 (随筆文、文科のみの出題) |
---|---|
2024 | 菅原百合絵「クレリエール」 (雑誌「群像」2023年7月号掲載) |
2023 | 長田弘『詩人であること』 |
2022 | 武満徹「影絵(ワヤン・クリット)の鏡」 (武満徹『武満徹著作集 1』等に所収) |
2021 | 夏目漱石「子規の画」 (『漱石全集〈第12巻〉小品』等に所収) |
2020 | 谷川俊太郎「発語の根はどこにあるのか」 (谷川俊太郎『詩を考える―言葉が生まれる現場』所収) |
2019 | 枝裕和「ヌガー」 (是枝裕和『是枝裕和 対談集 世界といまを考える 2』所収) |
2018 | 串田孫一「動物との対話」 (串田孫一『緑の色鉛筆』所収) |
2017 | 幸田文「藤」 (幸田文『木』所収) |
2016 | 堀江敏幸「青空の中和のあとで」 (日本文藝家協会編『ベスト・エッセイ 2015』所収) |
2015 | 藤原新也「ある風来猫の短い生涯について」 (佐々木倫子『動物のお医者さん』第6巻(白泉社文庫)内の解説文) |
2014 | 蜂飼耳「馬の歯」 (雑誌「図書」2013年3月・第769号掲載) |
2013 | 前田英樹『深さ、記号』 |
2012 | 河野裕子「ひとり遊び」 (河野裕子『たったこれだけの家族』所収) |
2011 | 今福龍太「風聞の身体」 (雑誌「図書」2010年6月・第736号掲載) |
2010 | 小野十三郎「想像力」 (小野十三郎『詩論+続詩論+想像力』所収) |
2009 | 馬場あき子「山羊小母たちの時間」 (日本経済新聞社編『日曜日の随想 2007』、 日本文芸家協会編『不機嫌の椅子 ベスト・エッセイ2008』所収) |
2008 | 竹内敏晴『思想する「からだ」』 |
2007 | 清岡卓行『手の変幻』(文庫版) |
2006 | 宮澤康人「学校を糾弾するまえに」 (佐伯胖・汐見稔幸・佐藤学編『学校の再生をめざして 1.学校を問う』所収) |
2005 | 小池昌代「背・背なか・背後」 (雑誌「図書」2004年7月・第663号掲載) |
2004 | 多木浩二『写真論集成』 |
2003 | 篠原資明「詩的言語への交通論」 (篠原資明『言の葉の交通論』所収) |
2002 | 永井均『転校生とブラック・ジャック』(文庫版) |
2001 | 岡部隆志『言葉の重力――短歌の言葉論』 |
2000 | 三木卓『海辺の博物誌』(新書版) |
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